クリエイティブでなければ仕事ではない??

「クリエイティブな仕事がしたい」
「クリエイティブでなければ仕事ではない」
「仕事はクリエイティブであるべきだ」

などと、最近よく言われているようです。
しかし、この言い回しは、おそろしくミスリーディングです。
特に、仕事の現場を知らない若い人たちが、

「クリエイティブな仕事がしたい」

などと思ってしまったら、「おい、ちょっと待ってくれ」と言わなければなりません。

私は最初、プログラマとして仕事を始めました。仕事を始めてしばらくは、システムをさわって動作を覚えたり、テストしたりと、ひたすら地味で単調な仕事が続きました。あまりに単調なので、眠くなってしまうほどでした。そんなときに、上司に尋ねられました。

「仕事してみて、どんな感じや?」

私は、「思っていたより、地味ですね」と答えました。

その頃は、まだ「IT革命」などという言葉が流行っていた時期で、プログラマという仕事のイメージは、今のようなダーティーな(きつい、給料が安い、帰れない)イメージはなく、少しカッコいい、華やかなイメージがあったのです。

上司は、「それがわかってたら、ええわ」と答えました。
「ちょっとでも、カッコいいとか、華やかみたいなイメージもってたら危ないなと思ったけど、それがわかってるんやったらいい」ということでした。

企業によっては、新人のやる気をくじくような単調な作業を、いきなりやらせることはないかも知れません。顧客と企画について打ち合わせたり、仕様を考えたり、設計したりと、「クリエイティブ」な仕事をやらせるかもしれません。「新人はまずテストから」などというアプローチは、前時代的、非生産的だといわれるかもしれません。しかし、私はこの地味で、単調な仕事を、最初にやらせてもらえたのは、とてもよかったと思っています。

たとえば、すばらしいソフトウェアのアイデアを思いついたとします。「これは世の中を変えるはずだ」ぐらいのアイデアだったしましょう。アイデアをカタチにするために、インタフェースを考え、設計をします。ここらへんまでは、とても「クリエイティブ」だと言えます。

しかし、そのあとコーディングして、テストを繰り返してといった、市場に商品を脱せるぐらいの品質に仕上げるまでのプロセスは、恐ろしく単調なものです。しかも、目立たず、評価されにくい。

しかし、このプロセスなしに、「クリエイティブ」なアイデアが実現されることはないのです。これはどんな仕事でも同じです。

たとえば、本を書くという仕事も同じです。「企画のコンセプトを考える」「編集者さんとアイデア出しをする」「帯のコピーを考える」など、もしかするとちょっと華やかで、クリエイティブに聞こえるかも知れませんが、それ以外のほとんどの時間は、「ひたすら文字を打つ」「読みかえす」「悩む」「文章を直す」など、90%以上は、地味で泥臭い時間なのです。

顧客に新しい価値を提供し、それを収益に結びつけるためには、アイデアを出し、それを洗練することは必要不可欠です。しかし、いくらすごいアイデアを出しても、アイデアを出しただけでは、なんの役にも立ちません。アイデアを実現するためには、その後に、単調で泥臭い、地味な仕事が待っているのです。

アイデアのほとんどは、カタチになることなく、消えていきます。それは、単調で地味な作業を乗り越えられないからです。

仕事に変に「クリエイティブ」なものを求めるより、地味で単調な仕事を乗り越えるチカラをつけるほうが、よっぽど、アイデアはカタチになります。

現場で働く人も、経営者も、
地味で単調な仕事こそを、評価しなければなりません。
それがなければ、成果は「ゼロ」なのですから。

「クリエイティブでないものは仕事ではない」のではなく、
「クリエイティブでないことを乗り越えてこそ、クリエイティブなことができるのだ」ということです。

2 thoughts on “クリエイティブでなければ仕事ではない??

  1. mirai

    芝本様

    初めて投稿します。ブログ勉強になりました!!!
    すごく共感します。

    「カタチにする努力」って本当にすごい!

    これからもブログ楽しみにしています。

    1. 芝本秀徳

      miraiさん
      ブログ読んでいただいて、ありがとうございます。
      また、コメントありがとうございます。
      「カタチにする努力」ってほんとだいじです。
      引き続き、ブログを読んでいただけるとうれしいです。

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