目的に沿ってプロセスを設計する

先週、25日(金)は「派生開発推進協議会」のカンファレンスに招待いただき、参加してきました。ソフトウェア開発を良くしていこうという思いもった人たちが集まった内容の濃いカンファレンスでした。

ここで議論されていることは「ソフトウェア」に関することですが、実はソフトウェアに限らず、すべてのビジネスプロセスを考えるにあたって、この考え方は非常に大切なものなのです。

■ 派生開発とは

「派生開発」とは、主に組み込み系のソフトウェア開発で行なわれる開発プロセスのことです。家電製品や、医療機器、携帯電話、カーナビゲーションなどに組み込まれるソフトウェアは「組込みソフトウェア」と呼ばれます。「製品に組み込まれた」ソフトウェアという意味です。パソコン上で動くソフトウェア、ウェブアプリケーションなどと違い、不具合が発生したときのダメージが大きく、アップデートのハードルが高いのが特徴です。

組込みソフトウェアは、前のモデルのソフトウェアに機能を追加したり、変更したりする「マイナーチェンジ」の開発が多くを占めます。このマイナーチェンジ開発のことを「派生開発」と呼びます。オープン系のソフトウェアでは「保守開発」と言われたりしますが、オープン形の保守開発が「新しいモデル」をつくるのではなく、すでに走っているシステムの機能変更や、不具合の修正などを対象としているのが違いです。

新規にシステムを一からつくる「新規開発」と、既存のシステムを改造するマイナーチェンジ開発では、求められるプロセスがまったく異なります。新規の開発は、何もないとこから設計、実装するプロセスです。既存システムとのしがらみを考慮する必要はありません。一方、マイナーチェンジ開発は、「変更」が主なアクティビティとなります。

しかし、同じソフトウェアをつくるプロセスだからということで、マイナーチェンジ開発も、新規開発と同じプロセスが適用されるケースが多いのです。

違う目的を達成するために、同じプロセスを適用されるとどうなるのか。当然、品質の低下、プロジェクトの遅延を招きます。そこで、「派生開発」という方法論が提唱されました。

ここでのポイントは、「目的に沿ったプロセスを設計する」ということです。

■ 目的に沿ったプロセスを設計する

企業では、目的の異なるさまざまな製品やサービスがあるにも関わらず、同じプロセスで仕事を進めるケースが多くあります。たとえば、「マス」を対象とした商品と、「ニッチ」を対象とした商品の違いがあるにも関わらず、サポート窓口は同じ、などです。

「ニッチ」を対象にした商品は、一般的に高額で、よりきめ細やかに顧客のサポートをする必要があるにも関わらず、「マス」の顧客と同じように扱ってしまうという間違いをしてしまうのです。

目的に沿ったプロセスを設計して成功をおさめたのが、ヤマト運輸です。ヤマト運輸には、通常の「宅急便」以外にも、「クール宅急便」「スキー宅急便」「ゴルフ宅急便」など、さまざまなサービスがあります。そして、これらのサービスのプロセスは、サービスごとに特化したものになっています。

たとえば、ゴルフ宅急便は、顧客がコースを回る前日より前には、荷物を届けない仕組になっています。前日より早く荷物を届けられれば、ゴルフ場が荷物でいっぱいになってしまってクレームになるからです。そのためには、依頼主がコースを回る日を知り、前日に荷物を届ける必要があります。これは通常の宅急便にはないプロセスです。つまり、サービスの目的によって、それぞれプロセスを設計していわけです。

目的に沿っていないプロセスは効率が悪いだけではなく、顧客離れを招いてしまいます。しかし、目的に沿って設計されたプロセスは、顧客満足を引き出し、結果として、企業価値を高めてくれるのです。

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