悔しい?それはまだ甘ちゃんの証拠。

部下が失敗したときに、経験談として、よくした話があります。

以前、学生時代のバイトの話を書きましたが、そこで私がした痛恨の失敗の話です。いまはどうか知りませんが、そのころはアルバイトには習熟度によってランクづけがされていて、

トレーニー



Aリーダー
リーダー

とあり、リーダーの中でも社員の代わりができる人が、サブマネジャーとして扱われていました。ランクが上がっても、時給にはあまり違いはでません。10円、20円のちがいです。しかし、時給の問題ではなく、多くのアルバイトがランクを上げようと必死になってがんばっていました。

とくに最上位ランクであるリーダーになると、制服が変わるのです。社員と同じ、「白服」と呼ばれる制服を着ることができるのでした。みな白服を目指してがんばるのです。

私はそのころ、Aランクでした。

ランクアップしたい私は、毎日シフトにはいって、張り切って仕事をしていました。そんなある日、土曜日でお店が忙しい日のことです。私は痛恨のミスをしました。オーダーの入れ忘れです。

そのころのメニューには、チキンの6本セットがありました。このチキンは、お客様に提供するまでに10分かかります。ファーストフードのメニューの中では、かなり長い時間です。しかし、そんなに数がでるものでもなかったので、ストップは2本か、3本です。そのため、6本セットのオーダーが入ると、お客様に10分待っていただかなくてはなりません。

その土曜日、私がフライヤー(揚げ物)担当だったときに、チキンの6本セットのオーダーが入りました。「ウェイト10分!」と答えて、お客様が待っていただけるとの答えがレジから返ってきました。

そして、10分後、レジから「もうそろそろチキンでる?」と聞かれたときに、青ざめました。チキンを入れ忘れていたのです。お客様に提供するには、もう10分待っていただかなくてはなりません。合計20分です。ファストフードなのに、あり得ない時間です。

「自分で謝ってくる!」そう言って、レジカウンターから飛び出して、お客様のところに謝りにいきました。幸い、お客様は怒ることもなく、「いいですよ、待ちます」と言ってただけました。普通なら怒って帰るところです。

私は大急ぎでフライヤーに戻り、チキンを揚げて、10分後、自分でお客様のところに届けました。お客様は笑って「ありがとう」と言ってくれました。怒られなかったので、よけいに申し訳ない気持ちになったのです。

休憩時間にへこんでいる私に、店長が声をかけてくれました。

「すいませんでした。悔しいです」

そういう私に店長は、

「悔しい?そう思ううちは、お前はまだまだやな」

というのです。
ミスって悔しいのは当たり前だろうと思いましたが、「なぜですか?」と聞くと、

「人間は完璧ではありえんから、必ず失敗はする。失敗をゼロにすることはできん。
 プロは悔しいと思うまえに、リカバリに全力を尽くす。
 悔しいとか言うてるうちは、甘ちゃんの証拠。
 人間の価値は『リカバリ』にあるんや。」

と言われたのです。

「悔しい」と言っている自分の心の中には、「”がんばったのに”失敗した」「がんばったことは評価してほしい」という気持ちがあったのです。それを見透かされてるかのようでした。

「がんばった」と思うのも、「悔しい」と思うのも、お客様にはなんの関係もメリットもありません。それよりも、よりよいサービスができるように、リカバリすることの大切さを教えられたのでした。

そして「人間の価値はリカバリにある」ということを教えられて、それから失敗することが怖くなくなったのです。

失敗はゼロにはならない。人間の価値はリカバリにあるのなら、失敗したっていいじゃないか。そう思えるようになったのです。

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